Enmeiji延命寺

延命寺 本太風土記

 

本太風土記

<花祭り>

Vol.7

 

今年で三回目になる埼玉県仏教青年会と延命寺の共催による花祭りが、四月八日、無事終了しました。
去年から大般若転読をやってますが、延命寺の大般若は各宗派合同です。声明は天台のものですが、真言宗、曹洞宗、日蓮宗の僧侶も参加しました。
超宗派でやっているのは、全国でここだけの試みだと思いますが、ちょっとした打ち合わせをすれば転読はできるので、仏青の行事としてはふさわしいのではないかと思います。若いので、みなさん「降伏一切大魔最勝成就」と大音声を張り上げ、とっても大般若らしい威力があったと思います。
大般若は大変功徳のあるご祈祷として知られています。今年は、特に家の息子が病気で入院していたこともあり、病気平癒の祈りを込めてやっていただきました。
やっていただきましたというのも変ですが、去年までは、仏青会長で延命寺住職たる私自身が導師を勤めておりました。今年は大般若の特別な伝授を受けている従兄弟に導師を任せて、施主側に回りました。施主というよりは親、パパラッチ(ちょっと古いですね)として写真とビデオを撮っておりました。
子供が元気になったところをお目にかけようと、稚児の衣装を着せて、舞楽の迦陵頻を踊らせたからです。前の日から練習して、少し形になりました。
例によって、よろず準備不足のまま本番を迎えました。毎年、今年こそは広報をしっかりしようと思うのですが、いつも時間切れになってしまいます。参加者は百人足らずですが、それなりにお楽しみいただけたのではないでしょうか。少し、長かったかな。

大般若転読会

転読というのは、読んで字の如く、もともとは巻物をころころ転がしました。虫干しを兼ねています。木版の本になってからは、表裏の表紙をそれぞれ両手にとって、右手から左手へとパラパラパラパラ扇のような格好にして落とします。
本当に読むのを真読といいます。これも何人かで分担して読んだのでしょうが、川越の中院の住職が永禄年間に七回真読したことが記録に残っています。
玄奘三蔵の訳した大般若波羅蜜多経六百巻の中でも、特に、第五七八巻の般若理趣分というお経が重要で霊験あらたかです。
医薬の発達していなかった時代は、理趣分によるご祈祷が盛んに行われていました。今でも、原因の分からない難病奇病はたくさんあります。
近年、大般若の伝統が絶えてしまった寺が多いようですが、出来るだけ復活していったらいいと思います。花祭りでも何でも、行事を増やすのはなかなか大変ですが。
 箱に納めた般若経を担いで家から家へと回る村もあるようです。男が女装して担ぐ地方もあったそうです。復活させましょうか。
災害の起きやすい季節の節目に行う村の境界での神送り、魔物を追い払う民俗行事と一体になって普及したのでしょう。
延命寺では、少し、新しい息吹とともに再生を試みておりますので応援してください。

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掲載日 : 2000.04.11
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