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29 宣教師たちの異文化理解 「娘が年老いていく両親と一緒に住んで、面倒を見るために家に夫を連れてくることは、家庭の中で女性にとって有利に働いている。丈夫な息子が何人もいる両親が、私に一度ならず、自分たちの家を祝福する娘がいないと嘆いたものである。」 そして「ここ(北タイ)の女性ほど家庭の中で高い地位を占め、法の前で男性と完全に対等なところはアジアのどこにもなく、世界の他の地域にもほとんどない」と、高い評価を与えている。 このような好意的な評価は、この時代のアメリカの人種主義的な時代思潮を考えると、注目に値すると言える。例えば当時アメリカで影響力をもっていた人類学者ルイス・ヘンリー・モルガンは1887年、その著『古代社会』に「野蛮から未開、そして文明へといたる人間の発展の筋道についての研究」という副題をつけている。 北タイのアメリカ人宣教師たちの書き残したものもまた、布教というその明確な目的、そして彼らの出身地であり、読者の住むアメリカの時代思潮によって、大きく規定されていた。例えば1886年にニューヨークで出版された『シャム インドより遥かな地の中心』の本の扉には、この本がシャム王チュラーロンコーン、亡くなった宣教師、現在活動中の宣教師に続いて「引き上げられるのを待っている」(waiting
to be uplifted)何百万ものシャムの人々に捧げられていることが記されている。 川野美砂子 ‖精霊と女性の国
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